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美世がジンジャーエールをひとくち飲んでから、仁美の問いに答える。
「えっとね。私、中学の友達と別れちゃったっては言ったよね?」
仁美と司は、コクリとうなずく。美世の話はこうだった。
高校に入学して今まで仲の良かった友達と別れてしまい、なかなか友達が出来なかった美世は、クラスでいつの間にか出来ていたグループにも入れず、孤立していた。
ある朝、教室に入りずらいと思った美世が校内を歩いていると螺旋階段を見つけた。
............
......
「すごい、きれい......で、不思議」
美世は吸い込まれるように足を動かし、手すりに触れた。冷たくて固くて、滑らかな手触りは意外と手にしっくりくるように感じる。
階段の端に小さな植木鉢が置かれていたり、その鉢から細い植物のつるが延びて手すりに絡まっていたりするのを見ながら、ゆっくりと階段を登っていった。
その途中で、突然頭の上から声が降ってきた。
「おーい。怪我人なら、さっさと登ってこーい」
美世が驚いて見上げると、そこにはもじゃっとした灰色の髪の毛で、白衣を着た男、相模が手すりに寄りかかりながら立っていた。
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