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顔から湯気が出そうな美世はその先が言えないようなので司が聞いた。
「自分から迫っちゃった?」
「きゃあ!美世、すごいっ!!」
「わぁんっ!司ったらーっ!!」
美世は照れ隠しにジンジャーエールを飲み干し、お代わりを注ぎに行った。
テーブルに戻ってきた美世が今度はメロンソーダをストローで飲み始めた。
「あの人、見た目と違って意外と真面目なのね......」
仁美の台詞に美世がストローから口を離した。
「うん。私が卒業するまでは......その、関係を迫ったりしないって言ってくれたの」
「良かったじゃん。大事にされて」
司は心からそう思った。
内心、自分はどうだろうかという気持ちが沸き上がってきそうなのを抑えながら。
大切な人を大事にする。包んで、守って、見守って。相模先生の美世に対する触れ方は、そういうものなんだろうな......オトナだしね。
では、相葉や響と、自分の関係は......?
ふとその思いが浮かんだのを、オレンジジュースで押し流した。
美世は司の顔にわずかに影が入った事には気付かず、幸せそうに微笑む。
「うん。これからも大事にしてもらうつもり」
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