いつもの日常が、非日常２

１

そんな美世の為に、紹介しよう。

話題の先輩の名前は相葉 孝之<ｱｲﾊﾞ ﾀｶﾕｷ>、三年生。

容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群......とまぁ、とにかく、頭よくて、格好よくて、背が高くて、手足長くて、女子にも男子にも人気者。

相葉と過ごす時間が欲しいが為に、"相葉予約制度"まで出来ていた程。それも今では廃止となり、少しは落ち着いたかと思ったが、注目の的である事に変わりはない。

その辺をただ歩くだけでも通りすがる女子を悩殺出来る相葉は、周りにいつでも取り巻きがいる。

切れ長の涼しげな目を、眼鏡のレンズの奥で光らせ、爽やかな笑みを向けられれば、それが自分に向けたもので無くても腰が砕けてしまうだろう。

司はそんな完璧な相葉が、胡散臭くて苦手に思っていた。