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司達三人は、騒ぎながら相葉の姿を探す女子達の邪魔にならないように、廊下の端を歩きながら昇降口を目指した。
「相変わらず、すごいよね」
仁美がぽつりと言う。司は少しだけ、心が音を立てた気がした。
「......うん」
「ちょっと、そんな顔しないでよ!あたしの事はもー終わったでしょ?」
司の悲痛な顔を見た仁美が、司の背中を叩く。司は苦笑いしながら聞いた。
「顔に出てた?」
「「出てた、出てた」」
美世も一緒に深くうなずいた。
......最近、そんな事ばっかりだよ......。
感情が出やすい自分の表情がちょっと気になってきた司だった。
騒ぎは校舎を出ても続いている。司が視線の先にその姿をとらえた。どうやら自転車小屋に向かっているようだ。
「あ......拓真先輩」
「と、女子生徒......だね」
遠くから見守る中、速見 拓真<ハヤミ タクマ>は何人かの女子に囲まれた。
「あー......自転車まで行けなかったね」
美世の顔にまた、お疲れ様です。と書かれているのを、司と仁美は見ていた。
「まぁ、相葉先輩と同じく私はよく知らないんだけど......」
そんな美世のために......以下略。
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