―奇跡―

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「そういえば、アヤメさんは……」 「外の援護に向かったんじゃないかな。流石にリリーラさんだけじゃあセンリさんとバトラさんは抑えられないからね」 「そう……」  父さん達が姿を見せない理由は、それか。けどやっぱり分からないことだらけだ。行方不明になっていたリリーラさんは、ミズキ達と一緒に行動していたってことなのかしら。 「……でも、ホントに、良かった」  そんな。  消え入りそうな声が後ろから聞こえた。私の腰に両腕を通し、私の背中に顔をうずめるミズキは、泣いていた。それは私が知っていた、優しい彼女のままだった。 「また、みんなで会えて、よかった」 「……うん」  回されたミズキの小さな手を握る。少し震える小さな手に重ねた自分の手も、頼りないものだったけれど。だけど重ねてしまえばその震えも気にならない。 「……うんっ! さあエルちゃん、こんなことをしている場合じゃなかったよ」 「そうね」 「ス、スイちゃんがもの凄い顔で睨んでるし」 「そうね」  食べられてしまいそうなそれだった。 「とにかく私達はここから逃げ出さないと。そうする為にはあの人を――なんとかしないとね」  私の後ろから顔を出すミズキの視線の先。そこに居たのは、漆黒の衣装に身を包んだあの女。ヒナフィと名乗るあの女。今この瞬間での正義の味方が、現れた。
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