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「その盾、〝使い魔〟か……!」
「見抜かれるとは思わなかったな」
ヒナフィは刀での連撃を繰り出す。上から、横から、あらゆる方向から繰り出されるそれに対しバトラさんは両手を動かす。黄色く光るその盾は彼女の手に従って動き、刀と衝突し何度も弾き返した。
魔法をも織り交ぜ始めたヒナフィの攻撃は、バトラさんの後ろの父さんにまで及んでいる。しかしその全てを、二つから三つ、三つから四つへと分断していく光の盾が許さない。
痺れを切らしたかのように、こっちにまで届く冷気を刀に纏わせたヒナフィは真正面から突きを放った。衝撃の波紋が結晶化するようなその一撃に、バトラさんは大きく手を広げる。
「悪いがこれは境界線だ……お前如きに破られるわけにはいかない」
「バトラ=アリスベルン……!」
彼女の身長より大きい、その光の盾の防御力もやはり、絶対的。たった一度の攻撃も許さず、更には手の届く全域に盾を張ったバトラさんを前に、ヒナフィは表情を崩しながらも戦闘を止めて飛び退く。
「それで総長、今の時間でこの状況への答えは出せましたか」
「……まだだ。だが、王立魔導軍に躊躇無く剣を向ける専属騎士を見れば、私も踏ん切りは付け易い」
「結構。貴方が見えない道を歩むと言うなら、我々も共にその道を」
「ああ、着いて来い」
「承知」
そしてまた、バトラさんは父さんの後ろへと下がる。この構図は確かに、異常だ。王国に反旗を翻す人達と、王国に仕える軍人達と、王に仕える人の敵対。その中で父さんは、一体どんな答えを出したのだろう。
「なあフェイ……」
「どうしました? レイン君」
「戦う女の人ってなんであんなに格好いいんだ」
「確かに、こう、グッときますよね」
「分かりますよレイ兄ぃ! 実現不可能と言われていた男女間の友情のハイエンドですよあれは!」
「エ、エルちゃん落ち着いて……!」
放してミズキ、このバカ達を八つ裂きにするんだから。
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