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「……俺達が、これからどうするか、ですか。正直なところ、ここから逃げてどこかで隠れて生きていくってのが普通なんだと、思いますよ」
「普通……?」
「だってそうでしょう。俺達は今まで、身内の誰かの為に戦っていただけだ。その全員が今は揃っていて〝もう俺には装飾品だって無い〟。あの時奪われましたから。そんな現状で、危険を犯す必要なんてどこにも無い」
それは――ひどく、正論に聞こえた。そう、思えば私達に目的なんてものはほとんど無かった。何かに巻き込まれる中で必死になっていただけだった。
被害者だと、誰かに言われた。昔の時代の責任を押し付けられた被害者だと。定められた道しか歩めない、即ち選ぶことなんて出来ない存在だと。
けど。
「だけど」
レインの逆接は、少し大きく。
この空間に響き渡った。
「俺達は知っているんです。黙示録という存在を。今この瞬間にどれだけ世界に優しくても、それがどんな想いからきているのかを。そして俺達は誰一人、その考えには賛成してない」
言い切ったレインが刀に手を掛ける。それが何故なのか、私にももう見えていた。包囲を崩さない軍人達も気付いている。父さんもバトラさんも、この場に居る人間全員気付いた。
「俺達には目的が出来たんだ。それが俺達の選択だ……リト」
「……あはあ、生きてたね〝レイン〟」
聖堂の入り口には、黙示録が集結していた。
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