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驚きを隠せない面々を余所にユリは大きなトートバッグから一つのファイルを取り出し、カウンターに置いた。
「ねぇ、いきなりで悪いんだけどさ、これに目を通してくれない?」
そう言われ我に返った淳一はノロノロとカウンターへと進み、ファイルを手に取った。
「……皆星町(みなぼしちょう)開発プロジェクト?これは――…」
表題を口にした淳一は怪訝な顔をしながらもページを開いた。
そして中身に驚愕した。
「どう?凄いでしょ?」
ユリは自信たっぷりの表情で淳一へと感想を求めたが、淳一の耳には届いていなかった。
東京の企画会社でノウハウを学んだユリは、町で眠るトロッコを整備し、電子制御盤を取り付けることで、都会に作られたアトラクションを越えるリアリティー溢れるアトラクションの制作を企画していた。
地元に住み続ける者には到底考えつかない綿密なプランに淳一はのめり込むようにファイルに目を通した。
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