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嫌な汗をかきながら淳一は目覚めた。
身体中に僅かに痺れが残っているようで、顔をしかめつつ辺りを見回す。
「ここ、は……?なッ!?ちょっ、これどうなってるんだよ!!」
淳一は炭坑内のポイント切り替え部分に座らされていた。椅子に体を固定され、手もポイントを握った状態で固められていた。
必死に体を動かそうとするも、まるで動かない。
「あ、ジュンちゃん起きた?」
「ユリ!これは一体どういうつもりだ!説明しろ!」
「うふふふ、ジュンちゃん?私と約束したよね?ユキオの秘密は生涯二人で守り抜くって……ねぇ、どうして結婚なんかしたの?私のこと待てなかったの?」
「そ、そんなことはない!お前こそ俺を捨てて東京に行ったんじゃないか!!」
「……そうね、説明しておくべきだったかしら?私達の秘密のこの場所、誰かが手をつける前に私が開発したかったの……
ねぇ、答えて?ジュンちゃんは今でも私のこと、好き?」
淳一はユリの真意に言葉をなくした。
ユリが町を出て行った時は、毎日生きた心地がしなかった。
いつ警察が捕まえに来るのか、ユキオを殺した手の感覚が舞い戻る。
そんな日々に弱っていく淳一。それを支えてくれた女性といつしかイイナカななっていった。
やがて結婚し、幸せな家庭を築き、過去の罪を忘れようとしていた。
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