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見事、の一言につきた。
防犯目的の監視カメラが随分と普及している昨今……それでも芙蓉の尻尾は掴めていない。
「妙華、どうですか?」
「……申し訳ありません日和様」
いつもは自信満々に振る舞い、慇懃無礼が板についているような妙華も流石にここ数週間は大人しく平伏するばかりであった。
「目撃情報がないのです。手当たり次第に監視カメラの解析を行ってはいるのですが効率の悪さは否めません」
「華南の制服でここを出たようだが?」
伶には探してくれるなと懇願されてはいたが、日和は捜査の手を緩めるつもりはなかった。
朔には芙蓉が必要だし、芙蓉にもきっと朔が必要に違いない、だったら探して何が悪い?と開き直ることに決めたのだ。
「お目立ちになるそれはすぐに手放されたと思います」
「処分したならそこから足もつきそうなものだが」
「燃えるごみの日に住宅街にごみ袋ひとつ増えていたところで誰も不審には思いますまい」
つまりはもう灰になっているに違いないと暗に言われた日和は顔をしかめた。
「だとしても、あの美貌は目立つはずだ」
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