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「キャラ崩壊させてんなよ?」
「ん……」
「飯は?」
「……フェンに無理やり食べさせられた」
「せやったらええけど」
「……芙蓉は、ちゃんと食べているでしょうか?」
少しばかり和らいできた胸の痛みもまた再燃してくるような気がして胸に爪を立てた。
「……大丈夫やろ」
そう言う幸継の声には力がないから、心からの言葉ではないことは明白で、朔は俯いた。
雨風は凌げているんだろうか?
ちゃんと食べているのだろうか?
……生きて、いるんだろうか?
「朔?」
ぞくっと。
総毛立った。
冷や汗が頬を伝って、シーツにぽたりと落ちる。
考えないようにしていた。
「ユキ君……」
だけど、探せども探せども見つからないから不安ばかりが大きくなって悪い方に悪い方に考えてしまう。
「生きて、ますよね?」
「……朔」
馬鹿なことを言うなと即座に否定することが出来なかったのは幸継も心の何処かでその可能性を否定し切れなかったせいであった。
芙蓉ならば、ありえないことではない、そうちらっとでも思ってしまったがために言葉を濁す。
「……縁起でもないことを言うな」
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