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元々危うさはあったが、これほどまでに不安定な朔を目にするのは初めてで、幸継は心の中で舌打ちする。 芙蓉……あんまりいけずしてやんと、さっさと帰ってきてんか?この調子の朔の相手するんは正直きっついわ。 「まだ二週間やで?入れ揚げてたわりに見切り付けはるんえろう早ないか?」 あえて毒づいて見せることで朔の士気を鼓舞しようと目論む。 「……ん。そうですよね」 どんよりと沈んだ声音ではあるが先程までに比べれば幾ばくか目に力が戻った気がしてほっとする。 「頑張らないと」 ふらふらと立ち上がるその様は夢遊病者のようにも見えて幸継は慌ててその腕を掴む。 「寝ろ」 「探さないと……」 「その前にお前がぶっ倒れてもうたら芙蓉が泣くで?自分も労り」 「でも……」 でも、だってと言ってはパソコンに手を伸ばす朔に埒があかないと流石に苛立った幸継は黙って大人しく休めと言わんばかりに手刀を落とした。 油断しきっていた朔が声もなく落ちたのを抱き上げて、ベッドに投げ飛ばした幸継は盛大にため息をついた。 「病んでるこいつの相手すんの疲れる……」
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