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「そうか」
「服も数着無くなっていそうらしいが服の数までは流石に伶様も把握されてはいないから何とも言えないらしいが……」
言いながら千鶴は幸継に携帯電話の画面を見せる。
拡大を繰り返したのか随分と荒い画像のそこには芙蓉とおぼしき姿が写っていた。
「螢院の監視カメラの解析を飛沫に依頼して一から見直してもらった」
「……芙蓉、やな」
「コンマ二秒しか映ってなかったらしい」
「日付は?」
「失踪直後、だったよ」
「外の監視カメラは?」
身を乗り出すようにして尋ねるも千鶴は無言のまま首を横に振った。
「掠めもしてない」
死角を計算して動いたことは明らかだった。
「制服は病院で捨てはったな」
「だろうな」
足取りを掴めたかと思いきや早くも手詰まりとは……二人は顔を見合わせた。
「国外に出た形跡はないし、螢院によったんやったらその周囲からしらみ潰しに調べてくしかないな」
「水城が走り回ってる」
「おいおい……あんまり大っぴらにしたら煩い幹部が嗅ぎ付けるで?」
短慮でないかい?と言う幸継に千鶴はフンと鼻を鳴らして開き直りを宣言した。
「シラを切り通すさ」
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