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「まぁ朔本人が動くよりかは俺らが暗躍した方がましなんは確かやな。シラを切るんもひとつの手か」 神威の護衛は密偵的役割をも果たすことは幹部たちとて知っていた。 だからそれを逆手にとって、こそこそ動き回っているのは幹部の動向を探っているためだと思わせることは出来ないことではない。 「……ああ」 「それはええとして、や。この腑抜けがヘマせんかの方が心配になってきたな」 「散々だな」 「取り乱す一歩手前まできてんで?あいつは」 後ろを指差す幸継に、大人しく眠っている朔にようやく違和感を感じて恐る恐る尋ねる。 「ユキ……もしかして……鳩尾にグーでも捩じ込んだのか?」 「首にチョップかましたってん」 涼しい顔して言う幸継に千鶴はだんだん頭痛がしてきた。 「……仮にも主に手ぇ上げるか?」 「冷静さを欠いた主を諫めるんも大事な護衛の務めやろ?」 発作起こしとるのに、がさがさ動こうとするから黙らせたってんと鼻息荒く言ってのける幸継が千鶴には少し羨ましく思うのと同時に、朔と一緒になって右往左往してしまい、護衛としての冷静さを欠いていた自分が恥ずかしかった。 「……そう、だな」
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