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side ユノ
ユノ・ウェルベットは生徒会長。放課後も、生徒会の仕事が残っている事が多い。
「ランシア君、これを頼む」
今日もまた仕事が残っていた。
「はい、会長」
ランシアと呼ばれた男子生徒が、ユノから書類を受け取る。受け取ると、ランシアはすぐ自分の席に戻り、作業を再開した。
「……」
ふと、ユノの作業の手が止まる。そして、生徒会室の窓の外から見える赤く染まった空に視線を移した。
しばらくしてランシアが、ユノが外を眺めている事に気づく。
「会長?手が止まってますよ?」
ランシアも手を止め、ユノにそう言った。
「え?あ、あぁすまない」
はっと我に返り、作業再開するユノ。
「どうしたんですか?最近やたらと物思いにふけってるみたいですけど。好きな人でもできたんですか?」
自身も作業を再開させながら、何気なくランシアはユノに尋ねた。
「すっ…!そんな人いるはずないだろうっ!からかわないでくれ!」
ユノは顔を赤らめ、あわただしい口調で言った。
「……?そうですか」
いつも見せない態度に内心疑問に思いながらも、ランシアは作業を進める。
(でも……あの反応は明らかに……)
そんなことを思いながら。
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