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で。会議室。
「……そろったようだな。早速会議を始める」
全帝がそう言い、会議が始まる。
「今日届いた依頼、国王からだな。南にある《イルファイズ共和国》へ書状を届けてほしいとのことだ」
「……それ、別に帝じゃなくてもよくねぇか?」
炎帝が呆れたように言った。
「重要な書状だそうだ。敵国のラグライト皇国の兵が、盗賊に扮してあちこちにいることは知っているだろう」
「なるほど。なら、それは無帝さんに任せようかな」
土帝が言った。
「魔盲だと敵に気づかれにくい。敵がセンサーを持っている可能性もあるからな」
「……まじっすか」
無帝ことアルが、嫌そうに言った。
「報酬も、かなりはずむぞ」
水帝が言う。
「……分かりました、行きましょう」
しぶしぶ、と言った感じで、アルは言った。
「依頼の説明を行う。無帝以外は帰っていいぞ」
―――――
「イルファイズへは、一度乾燥地帯を越える必要がある。ここがしんどくてな。道がわるいから、馬では行くことができん」
「……徒歩」
「そうだ。かなり過酷だろうが、頑張ってくれ。地形の起伏が激しい分、敵が隠れるところも多い。一応、《王の武具》のガンナー(魔装銃をメインに扱う者)を数人連れて行く」
「え?そしたら魔盲の俺が行く意味無いんじゃないですか?」
「いや、彼らも魔盲だ。彼らが使う魔装銃は、あらかじめ魔力が込められた魔石を原動力にしている。彼らはただ引き金を引いているだけだ」
「……なるほど」
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