初陣

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 まぁ、そんなこんなで模擬戦は進み、いよいよアルの出番。 「次。アルファルド、出てこい。相手は……ヒサカタ、立て」  フィールドに、アルとトウジが立ちあがった。 「よろしく、アルファルド」  トウジが、模擬用の、刃引きした剣を構えた。 「……」  一方アルは、銀で二本の特殊警棒を作る。 「ん……?アルファルド、それは……。……まぁ、刃引きされているなら、問題はないだろう」  アルは、トウジを見据えたまま二本の警棒を振って伸ばした。 「警棒……?」  トウジは呟いた。 「始めるぞ、構えろ」  その声に、二人とも武器を構えた。 「始めっ!」 「はぁっ!」  合図が聴こえたとほぼ同時に、トウジはアルへ駆け込む。少し遅れて、アルもトウジへ走る。 「やあっ!!」  トウジは、アルに袈裟斬りをかます。 「っ!」  肩めがけて襲いくる剣を、右の警棒で弾く。そして、勢いに乗ったまま左手の警棒を、トウジの側頭部へ。 「うわっ!」  トウジはかがんでそれをかわす。そして、かがんだまま後ろへバックステップして距離を取った。 「まだまだっ……」  アルはそれを追うように、二本の警棒をトウジへ振るう。 「うわっ、ちょっ、まっ、ひゃぁ!」  びゅんびゅんと遠慮容赦なく襲い来る警棒を、すんでのところでかわすトウジ。 「クソッタレが……」  アルはトウジの腹めがけて蹴りを放った。 「ぐぅっ!」  そこに出来た隙を、アルは逃さなかった。  ひるんだトウジに、アルは警棒の連続攻撃をたたきこんだ。太鼓のように叩きまくったり、一回転して勢いをつけた一撃を御見舞したり、時折蹴りをはさんだりと。 「らぁっ!」  そしてとどめに、ドロップキックをトウジの鳩尾にかました。 「ぐぅえっ」  もろにくらい、トウジは後ろへのけぞり、倒れた。
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