シュヴァリエ デ リュミエール

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ジラルドはここにいることが正しいこととは思えない。同じ人であっても、違う人。不審な目で噴水で寝ていながら話している男を見ていると、話してきた。 「まだぁここに来て、浅いと見た!あっしは、わかんだぁねぇ。」 ジラルドは少し照れながら、活発そうな少女に返した。 「わかりますかな。この街は良いところだと聞いたもんだからな。」 「だったら、まだ領主様の良さをわっかんないはずだね。」 街の領主と言われる男は寝ながら説法している。 「我には神がついている・・・。」 ・・・肩肘をつきながら。 「我はこの街の領主であるが、我は街の支配者ではない。ここに住むものが街を創る。神に愛された我をいかにようにも使えばいい。」 その声は自信に満ちている。 「我は街の盾になろう。全ての剣はこの身に受けよう。」 言葉に偽りはない。だけど、真実でもない。 ジラルドは気持ちよい悪くなってきた。 「この街の姿は・・・本当に人で創られてるのでしょうか?」 「私たちは、自由に満ちている。領主様の傘の下には雨さえ降らない。穏やかな風を通すだけよ。」
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