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教室の中は、とても騒がしい。
今の時間は10分という短い休み時間。
みんな、ひとつひとつずつグループを作り、トークを楽しんでいる。
私は、席が窓辺に近いにもかかわらず、そのままぐったりしていた。
「今年の夏、どこに行く?」
「ゲーセン行かない?」
「明日、俺ん家に来いよ!」
教室内では長い休みの計画を立てる会話がなされていた。
そういえば、明日から私たちは夏休みを迎える。
小学生最後の夏休みを……。
「あぁ……もう小学6年か。早いな……」
そして、私たちには中学に向けての受験勉強のギアを上げる時期にもなる。
ここは珍しく、初等部のみ存在する私立学校であるため、私立中学校に通おうと思っている人々はみな新たに受験戦争に参入しなければならない。
「受験……。少しだるい……」
しかし、もし心からそう思っても受験に対して消極的なことは言えない。
私の志望する中学が私立なのだから。
だからとはいえ、クラスのみんなは、その大多数が私立受験するとは言えども、約1ヶ月間の夏休みへの充実な過ごし方に精を出していた。
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