1・お誘い

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ガラガラと教室の引戸を開けて、一歩足を踏み入れると、油絵具の匂いと埃っぽさに自然と眉を寄せる。 コホンと小さく咳をして、足早に窓辺に向かった。 少し重いカーテンを開けながら、そのカーテンも埃っぽいことに気付き、軽く呆れた。 取り敢えず空気の入れ替えをしようと窓を開け、湿度対策に除湿機のスイッチを入れた。 10分くらい空気の入れ替えをして、少し掃除をしたら、最初感じた不快感も薄れていった。 ふぅ、と満足げに溜息を吐くと 「ホント、ゆいは変な奴だわ」 クスクス笑いと共に、少し低めの声が飛んできた。
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