ソファで寝ている美穂にタオルケットを掛けて、そして

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美穂は笑みを浮かべて寝言を漏らした。 「ったく、幸せそうに寝やがってからに……」  仕事中に、しかも春の暖かい陽射しを浴びながら昼寝をしているんだ。幸せでない訳がない。  少々恨めしく思いながらも、彼女の幸せそうな寝顔を見ていると「まぁ仕方ないか」とつい諦めてしまうのだ。  しかし、美穂は今頃どんな幸せな夢を見ているんだろうか。美穂の事だから、きっと事務所のきらりや杏とワイワイしてる夢でも見ているんだろうか。そんな事を考えて美穂の寝顔を眺めていた。 「ん~、プロデューサー……さん♪」 ──うぉ……!?  予想だにしなかった彼女の寝言に思わず飛び退く。  普段聞く呼び声とは違う、もっと優しく、柔らかい声に俺の心拍数は鰻登りに上がり、顔がみるみるうちに熱くなっていく。 ──落ち着け、落ち着け、落ち着け!  目を閉じて深呼吸を10回。  心拍数は、もちろん下がる訳がない。 「よ、よし。仕事だ、仕事をしよう……」  思わぬハプニングから目を反らすように再び机に戻り、無理やりにでも書類に目を通しはじめるが上手く進む訳がなく。  美穂が目覚める4時過ぎまでに決まった案件は一つも決まる事はなかった。
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