修行

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矢は凄まじい勢いで、地面と平行に飛んでいった。 パスッ 微かに、何かが当たったような音と共に、遠く見える牛の一頭が倒れた。 疎らに居た牛の群れは四方に慌てて散って行った。 イース「行くぞ。」 そう言って師匠は歩きだし、俺は後ろをついていった。 牛の元まで歩いた俺は、牛の頭を凝視してしまった。 俺「嘘だろ…」 見事に矢は牛の頭を貫通していた 矢はまったく見当たらず、かなりの距離を飛んでいったらしい。 俺「師匠…ホンモノの化け物だな…」 思った事がそのまま口に出てしまい イース「お前はなんの為に魔力を得たんだ? こんなのは軽く出来なくてどうする。」 なんて言われたが そんな事を言われても、魔力の扱いなんて 全くやった事がない俺は、返答に詰まってしまった。 イース「ボックス」 師匠が牛に向かって手を翳すと、牛は地面に飲まれたかのように消えていった。 イース「湖に戻るぞ」 そう言って踵を返した師匠に、何も言わずについていき、俺たちは湖に戻った。 イース「さて、食事が終わったら眠るぞ 肉体の無い鍛練に、どのような意味があるのか解らんが お前を育てるのが契約だからな」 湖に着いてすぐに言われたが、リアルに肉体は有るんだが、首だけになって生きてる時点で 肉体と呼べるのかすら怪しいので、師匠に相づちを打って 指示に従って、気持ち悪いのを我慢して牛を解体したんだが… 食欲が… 師匠は暢気に薪を集めて来て、魔法で火をおこして 肉を焼きだした。 イース「眺めてないで早く食え 他を犠牲にして生きてる以上、狩りに罪悪感なんて感じてたら、この先話しにならんぞ」 俺「は…はぁ」 そんな事は解ってる、罪悪感どころか、俺は食い物が無かったら、人肉を食べてでも生き延びようとするだろう。
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