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イース「最初からだ、魔力を体内で、練って留め、身の周りに遮断結界を張り、魔力の放出を防ぎ、気配を消して着いてきたんだ。
隠密行動時には役に立つから、覚えておけ。」
なる程
俺「遮断結界にそんな利用法があったんだな。
でも、何で着いてきてたんだ?」
師匠が主って言ったって事は、コイツが森の主で間違いないだろう。
木に化けれる程の巨大な昆虫の死骸を一瞥し、ここに主が居るのか分かってたのかが気になって問いかけたのだが、予想外の答えが師匠から返ってきた。
イース「お前は相変わらず阿呆だな、私は今まであまりお前から目を離した事は無いぞ。」
今までかなり長い時を共にしてきた感覚だが、訓練以外にはあまり行動を共にした記憶がないので、不思議に思ったが、いつも見守られてたんだと納得して、じゃあいつものキャンプに帰ろうと師匠に促し、こちらに来たばかりの時に丸太で作ったハウスに戻った。
キャンプに帰る途中で、果実や食べれそうな野草を摘み、兎を一羽仕留めると、寄り道をしながらハウスに着くと、師匠が野草を湯がき、森で採種した岩塩と、木の実を潰して乾燥させたスパイスで味を仕上げ、兎の肉も調理した所でハウスのドアがノックされた。
俺は風魔術で切って作った椅子から腰を上げ、ドアに向かって歩きながら声を掛けた。
俺「どちらさ~ん?
って言うか、ここに来るのは鬼しか居ないわな」
そう言ってドアに着いて、扉を内側に開いた。
目の前に立っていたのは、大きな体に一本の角を頭から生やした、ゴリラみたいなオッサン…
鬼である。
鬼「閻魔様がお呼びだ、準備をして、すぐに戻って来い。」
鬼がそう言って帰還を促し、師匠が返事をする。
イース「分かった。
これを食ったら戻ると閻魔に伝えてくれ。」
裏庭に続く扉から、調理した食材を部屋の中に運び、大きな切り株で作ったテーブルに並べながら鬼に伝言を頼み、鬼も了解し、来た道を戻って行った。
俺「扉消えてたけど、また出現してるのか?」
何度も何度も扉があった付近まで狩りに出掛けていたが、来た時以来一度も扉を見た記憶はないので、師匠に訪ねてみた。
イース「もう師匠ではない、お前はもう私と実力的な差は無いし、これからは名前で呼べ。
扉は…行ってみればわかるだろう。
それよりさっさと飯を食え。」
そう言って食事するように急かされ、俺と師匠はこの狭間での最後の食事を楽しんだ。
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