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「大袈裟な・・・」
「いや、大袈裟では無いぞ。男の名は、王族さえ口にする事を拒んでいたからな」
未知の存在に、呪われた名を持つ男。静かな山に騎士達の唾を飲む音が響いた。
「──でゴルド、その通り名は?」
荷馬車から身を乗り出した姫が、子供の様に目を輝かせて問い掛ける。
萎縮する男達とは対照的に、彼女だけは興味の深さが増して行く。まるで恐れを知らぬのは、彼女が下界の世上に疎い事も関係している。
「奴の通り名は・・・」
物語りの先を気にする無邪気な子供の様に、皆がゴルドの言葉に注目する。
ゴルドは少し躊躇いながらも一つ呼吸を置いてゆっくりと口を開く。ゴルドの迷いは何処か秘密を匂わせていた。
「アレースの巨人だ」
アレースと聞き、誰もが驚きを隠せなかった。
軍事大国オルティア。
ゴルド団長の所属する大陸最強の騎士団
『白銀騎士団』を筆頭に
『騎馬団』
『弓兵団』
『魔導師団』
の4勢力で国を治めるのが彼等のオルティア国。
アレースとは『黒帝騎士隊』を筆頭に
『帝国歩兵隊』
『帝国騎馬隊』
『帝国海兵隊』
『帝国魔導師隊』
の5勢力で、オルティアと肩を並べる軍事帝国。
25年前に大陸全体を巻き込む大戦を経て、現在もお互いに国同士の交流は無い。
言わばオルティア最強の敵国の名がアレース。
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