66人が本棚に入れています
本棚に追加
「な・・・何故!?
アレースの騎士が!?
オルティアの英雄、伝説の男が敵国の騎士なのか!?」
オルティアの姫は言葉を荒げていた。騎士の証である鉄の仮面を脱ぎ捨て聞き耳を立てた。
「間違いありません・・・。確かに奴はアレースの元『黒帝騎士隊』総隊長。
だが今はオルティアの英雄、我が国の守護神。
皮肉にも、我がオルティアの今が有るのは、間違いなく奴のお陰なのです」
「・・・なんと、」
深まる謎。更に山を奥へと進みながら皆は興味に取り付かれていた。
敵国の騎士。しかも敵の総隊長。
敵の重役ならば捕らえて打ち首は当然の処置。それを為さなければ国民の信用を失い、王としての地位の失墜も有り得る。
当たり前、何故なら男は戦況を操る立場、言わば指揮官。戦争となれば男の命令で何人ものオルティアの騎士が命を落とすのだ。
自分達の家族、息子、それらの命を奪う命令を下した軍における重役。それを生かしておけば国民の怒りの矛先は、その決断を下した王に向かうのだから。
だが、オルティアの王は男を受け入れた。自身の領土に住まわせ、そればかりか今回は、酒樽を貢いで何らかの手を借りようとしている。
最初のコメントを投稿しよう!