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ゴルドが腕に力を込めて扉を引くと、建て付けの悪い扉は摩擦で不気味な低い音を発した。
緊張が辺りを覆い隠す。
いきなり襲って来ないか、扉を開けたと同時に殺されはしないか。劇薬を扱う前の注意喚起の如く、男の事を繰り返し意識し過ぎた為に嫌な妄想が頭を過ぎる。
騎士としての習慣から全員が剣に手を沿え、いつでも剣を抜ける様に身構えていた。
次第に現になる扉の先からは、生活感の有る空気が漂って来た。生臭い血の匂いを想像してた為、皆が唖然とした。
贅沢な暮らしとは程遠いが、質素な割には綺麗に片付けられた部屋。
鉄器など重苦しい物は一切無く、天然の木から切り出した丸太のテーブルに、ゆったりとした広さの綺麗な木目の椅子。
食器や家具も木製の素材で作られて、懐かしい田舎を想わせる暖かな空間が有った。
床に広げられた繊細な柄の絨毯が、更に家庭的な印象を強くする。
まさか、間違えたのか。そう思えるほど想像と掛け離れた室内は、心落ち着かせるローズマリーの香が漂っていた。
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