66人が本棚に入れています
本棚に追加
「あら、お客様ですか?」
品の有る透き通る声と共に現れたのは、スラリとした気品漂う美女。
全身を黒いローブで覆い隠していたが、遠目からも細身の体型が良く分かった。
子供の様な白い肌に異質な黒髪。上から下まで黒で統一しているが、大きな瞳だけは濃い蒼が際立って見える。
「ま、魔女か・・・」
騎士の一人がつい口にした言葉に、女性は笑みを浮かべてクスリ―…と笑った。
魔女と思うのも仕方ない。彼女の身に纏う黒いローブは、如何にも魔術でも使いそうな出で立ちなのだ。
「そう呼ばれるのも久方ぶりね、ささ入って、お茶でも出しますから」
皆、呆然と立ち尽くす中で、女性から「座って、座って」と多少強引に促されているが、うろたえたまま動く事が出来なかった。
この女性は誰なのか伝説の男との関係は?
現れるのが男だとばかり思っていた一同は、皆が同時に面食らってしまった。差し出された香り立つハーブティーが湯気を立てて香る。
どう見てもテキパキと動き回る女性の姿は、伝説の男の関係者とは思えなかった。
最初のコメントを投稿しよう!