伝説の男

18/22
前へ
/100ページ
次へ
彼女の容姿は美しく、年齢を現す顔のシワや深い堀等は見当たらない。 女性の見た目はどう多く見積もっても20歳中頃、最悪10代にも見えてしまう。 だが伝説の男の関係者ならば年齢はそう若くは無い筈。見た目は若いが、実際に古の秘術で年齢を止めた魔女なのでは?伝説の男の妻か、娘? 「そう呼ばれるのも久方ぶりね」先程の彼女の言葉で更に疑心暗鬼に落居ってしまう。本物の魔女なのか。 「あら、ゴルド騎士団長殿?」 女性が驚いた様に目を丸して立ち止まると、その視線の先には扉の前で一人立ち尽くすゴルドの姿が有った。 ゴルドは、まるで化け物でも見る様な目で女を無言で見詰め、全身を恐怖で震わせていた。 「お久しぶりね、ゴルド団長・・・貴方も座って頂戴。自慢のローズマリーよ、口に合えば良いけど」 「お、お前が何故、ここに居るんだ?いつアレースを離れたんだ・・・」 ゴルドだけはこの女性の素性を知っていた。 「あら、私が貴方を呼んだのよ。聞いてなかった?」 意味深な言葉を残して、女性は戸棚から新たにハーブを取り出した。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

66人が本棚に入れています
本棚に追加