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伝説や噂は誇張が当たり前。
蓋を開けばガッカリと言う事もしばしば。
期待し過ぎても落胆し兼ねない。有り得る。だがそれが話の種には十分なネタ。
何より、男の伝説が酷く巨大だった。
始まりはオルティアの危機。
巨大な竜が火を吐いて、オルティアの大地の半分を焼き払った。木々は焼け落ち、建物は砂に崩れ街は廃塵と化した。
竜の口は鋼の牙。馬や牛も、家さえも一飲みにして喉を鳴らした。
巨大な竜の蹄(あぎと)は、オルティアの精鋭一個騎士団を踏み潰した。
竜の尾は雲を突き破り眼前の山を二つに裂いた。
人々が絶望の中で神に祈り。絶望が地獄を産み落とす前に、男は悠然と現れた。
巨躯な体躯は巨人の様。
男は、オルティア王に竜の討伐を為すと告げ、王は男に神具を授けて成せと命じた。その剣は、かのアーサー王の剣。
戦いは熾烈を極めた。
決戦の場所はケルン平原。三日三晩の永きに渡り平原は炎で覆い隠された。有るのは剣の奏でる音色と、竜の吐き出す灼熱の業火。
四日目、終わりの朝。
戦いは竜の咆哮で終焉を告げた。
静寂の中で家から顔を覗かせた人々の目には、首の無い竜の亡きがらが大地に伏していた───
壮大なファンタジー要素の盛り込まれた伝説。
神話の剣と、古のドラゴン。
若い騎士も、子供時代が有る。
布団の中で、親から聞かされる伝説に、憧れては胸踊り、目を輝かせて夜更かしをしたモノだ。
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