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―――十数年前、シャルパティエとの国境近くの農村。
「大変だあーー!!森で子供が血だらけで倒れてた!!」
「なんだって!?」
一人の男の叫びで、みな家から飛び出してくる。
男の背には13、14ぐらいの少年がぐったりとして意識がない状態でおぶわれていた。
「こりゃひどいな。ぼろぼろじゃないか。」
「これはちょっと危ない状態じゃないか?医者に見せよう。」
「そうだな。」
村人達は少年を急いで村唯一の医者のもとへ連れていった。
医者はとても良心が強く、どんなに貧しくても治療を行ってくれるとあって、たいへん村人達から慕われていた。
「どうなんですか?」
「危険な状態だ。出血も多いし衰弱も激しい。助かるかどうか……。」
「そんな……。」
すると2階からこの少年と同じ年頃の、一瞬少女かと見まごうてしまいそうなほどの器量の少年が降りてきた。
「どうしたの?」
「ああクリスか。ちょうどいいところへ!この子の治療をするんだが、わしの手に終えそうじゃない。
手伝ってくれ。」
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