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クリスと呼ばれた少年は、傷だらけで意識のない少年を見た。
「父さん、これはっ……。」
「ああ、危ない状態だ。お前の力が必要なんだ。」
クリスは一度唾を飲み込み、真剣な面持ちでしっかりと頷いた。
そして三日後の夕暮れ、ずっと意識のなかった少年の瞼が震えた。
それを見たクリスはふわりと微笑んだ。
「気が付いた?」
そうクリスが声をかけると、気が付いた少年は瞳を驚愕に見開かせ、勢いよく起き上がり先ほどまで横たわっていた簡素なベッドから飛び退いた。
「ちょっと、だめだよまだ起き上がっちゃ。」
クリスがそう諭すが少年は耳を傾けようとはしない。
一見なんともないように見えるが、実際は体には相当の激痛がはしっているはずだ。
クリスは神裔だ。
神裔とは神の力をその身に宿した者のことをいう。
クリスの力は「治癒」主に傷を癒すことが専門だ。
しかしクリスはまだ自分の力を上手く使いこなせてはいない。
完全には傷は癒えていない。
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