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「父さん、この人はもしかして……。」
「ああ、あの反応からしておそらくシャルパティエから逃れて来たんだろう。」
ライモンが少年をベッドに戻して言う。
そしてクリスは悲しそうな顔をした。
「彼、多分腕、動かせないね。」
「そうだな。
他に全く治療された痕の無い傷痕もあったから、放置してたんだろうな。
どんな境遇に彼はいたんだろうか。」
そして二人は顔を見合せ、深く眠る少年を見た。
「クリス、お前この子の友達になってやれ。」
「え?」
「この子は孤独だ。そして人を信じる心を失ってる。
いい理解者になってやれ。」
父の真摯な眼差しに、クリスはしっかりと頷いた。
このことを承諾するのに何ら迷いなど無かった。
「いい子だ。」
父がにかっと口を大きく開けて笑い、クリスの頭を撫でた。
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