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「おかえりなさいませ」
自宅に戻った俺を、数人のメイドたちが出迎えてくれた。
いつもの見慣れた光景だ。
俺は適当に相槌を打つと、自分の書斎に向かって歩き出した。
「あら崇さん戻ってらしたの?」
滅多に顔を見せない母が今夜はリビングから顔を出し、俺に声を掛けてきた。
「ただいま戻りました」
「ねえ、ちょっとこちらへ来てちょうだい。大事なお話があるの」
──大事な話──
母が決まってこう言う時は、そのほとんどが見合い話だ。
俺ももう28だし、そろそろ正式にめでたい話の一つも聞きたいところなのだろう。
『ちゃんとした家柄の相手と結婚し、KURATAを継ぐ』
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