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これがこの俺に課せられた使命なのだから。
倉田の家に生まれた以上、俺には自由な恋愛結婚など許されるはずなかった。
形式にとらわれた政略的な結婚、それこそが父と母の夢であり希望だった。
だからだろうか、俺は小中高と男子校に通っていた。
男ばかりの学園生活に、恋愛などといった甘い感情など生まれるはずがない。
俺は女の子と一切触れ合うことのない生活を幼少のころから余儀なくされてきた。
外出時なども常に荒井同伴の行動をとらされ、俺に自由が与えられることはなかった。
テレビなども禁止、もちろん雑誌なども読ませてもらえず、アイドルというの存在を知ったのはそれからずっと後。
誰かを好きになることも誰かと付き合うこともなく、俺は抑制されたまま苦い思春期を過ごしていった。
そんな俺もようやく高校を卒業すると、晴れて大学生となった。
ずっと憧れていた初めての共学、俺の胸は期待に膨らんでいた。
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