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「ふぅ~」
俺は封筒を手に取ることなく小さく息を吐くと、母に視線を移した。
「先方がどうしてもって持って来られたらしいの。せっかくお話をいただいたんだし無下にお断りできないでしょ?どうかしら、崇さんさえ良かったら一度お会いするのが筋だと思うんだけど」
母は決して俺に見合いするよう強要したことは一度もない。
まあ結局のところ見合いする方向に仕向けられてはいるのだが。
「俺は構いませんよ」
「あらそう?じゃあ早速明日にでもお返事しておくわね」
母は俺の返事に機嫌よく微笑んだ。
「ですが母さん、結婚は一生の問題です。相手に不服があればきっぱりとお断りさせてもらいます」
これもいつもと変わらない俺のセリフ。
「そ、そうね。分かったわ。あとは崇さんの好きになさい」
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