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母は急に顔色を曇らせると、淋しそうに言った。
そんな母を俺はやりきれない気持ちで見ていた。
実は俺は母の本当の子供ではない。
俺は父と前妻との間に生まれた子供で、目の前の母とは血の繋がりはなかった。
つまり母は父の後妻だった。
実の母は俺が小学生の時病気で亡くなり、その後父と再婚した母が俺の今の母親になった。
その母親たちが、親友同士だったというから驚きだ。
当時内情に詳しかった荒井が俺にそう教えてくれた。
子供だったころは別にピンとこなかったが、今こうして改めて考えると妙な話だ。
以前ならよくあることだったのだろうか?
後妻になったものの、二人の間には子供はできなかったようだ。
だから後にも先にも俺は兄弟に恵まれず、ずっと一人だった。
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