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目の前で恥じらう女の表情に俺は、本気で恥かしがってんの?と、疑問を抱かずにはいられなかった。
それから俺たちは叔母のおしゃべりに助けられながら、和やかな雰囲気の中見合いは進んでいった。
仕事のこと、趣味や好きな食べ物の話など、毎回同じ質疑応答に耐えている俺。
その度に、決して笑顔を絶やさずにいる自分をほめてやりたいと心の中で思っていた。
そんなことはさておき、見合いも終盤にさしかかったころ──
「では崇さん、お二人でお庭をお散歩なさって来たらどうかしら」
叔母の口からいつものお決まりのセリフが飛び出した。
「はい。では行きましょうか」
俺の誘いに女は大きく頷くと、嬉しそうに頬を赤らめた。
俺たちは両家の親が注目する中、部屋を後にした。
女は俺の数歩後ろをしずしずとついて来た。
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