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「ふっ」
車の中で俺は思わず吹き出していた。
今夜久々に大学時代からの親友である彬や漣たちと酒を飲んだ俺は、かなりの上機嫌だった。
大学を卒業して以降、こんな風にみんなで酒を飲むのはひょっとして初めてかもしれない。
それもその筈、その中の一人「向井彬」は大学在籍中ニューヨークへ留学してしまい、そのまま向こうで仕事を見つけたあいつは、こっちへ戻って来ることはなかった。
日本を離れること8年あまり、その間顔を合わすことは一度もなかった。
なのに、やっと日本に帰って来たと思っても、あいつは連絡の一つもよこさない。
彬と同じ会社で働く漣から帰国の詳細を聞き、連絡できない理由を聞かされたものの、今一納得がいかない。
彬のヤツ、帰国してからずっと父親の会社に入り浸っているのか?
どんだけ仕事に一途なんだよ。
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