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「誠に申し訳ございません。俺はあなたのお父様の会社のために結婚する気にはなれない」
俺は女にはっきりそう言ってやった。
すると急に女は泣きそうな顔になり──
「ち、違います。そういう意味じゃなくて、えっと・・・・」
この期に及んで見苦しい言い訳をし始めた。
完全に嫌気がさした俺は女にくるりと背を向けると一言──
「では、これで失礼します」
当然見合いはこれで終了。
その後叔母や母は必死に頭を下げていたが、今回ばかりは自分の娘の失態も明らかになり、相手のご両親も逃げるように娘を連れて帰ってしまった。
やれやれ、さんざんな見合いだったな。
まあ、随分俺も大人げないことをしたと反省しつつも、結局俺に見合いを申し込むヤツらなんてこんなもんだと、俺はいつもの結論に至っていた。
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