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なのに女たちは、いずれ社長夫人になる日を夢に思い描き近づいてくる。
誰一人、俺の人柄や資質を見ようとはしない。
それならいっそ「KURATA」と結婚させたらどうだ?
俺はそんなバカげたことを思いつき、一人苦笑した。
俺は心から愛し合える人と巡り会い恋がしたい。
ただそれだけなんだ。
けれど現実にはそんな相手など現れるはずもなく、歳月だけが過ぎていく。
こんな俺だが、以前はこの世に『真実の愛』が存在すると信じて疑うことを知らなかった。
俺は純粋過ぎた。
ゆえに、女に対し無知過ぎたのだ。
その結果、俺の儚い夢が見るも無残に打ちのめされるとも知らず、俺は無邪気に笑っていた。
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