苦い初恋

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今ではこんな俺だが、大学時代に本気で恋をしたことが一度だけあった。 俺の初めての恋── 荒井の鋭い目が終始俺を監視しているのは知っていた。 だがそんな荒井でさえ、大学のキャンパスの中までは入ってくることはできない。 これを絶好のチャンスだと悟った俺。 授業の合間に彬たちとコミュニケーションしながら、常にアンテナをはり巡らせていた。 そんな俺にすぐにチャンスは巡って来た。 「倉田君、次の昼休みに話があるんだけど」 栗色の髪をした、スレンダーな可愛らしい女の子だった。 女の子に誘われたのが初めての俺は、少し戸惑いもあったが、 「うん、わかった」 と、即座に彼女に二つ返事をした。
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