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まあーあいつのそんなところ、あの頃とちっとも変ってないけどな。
俺はふと昔を懐かしみながら、遠い昔の記憶を手繰り寄せていた。
彬がニューヨークへ飛び立つ前、俺に言ったことは今でも忘れていない。
「俺は夢を叶えるためにニューヨークへ行く。俺は夢が実現するためだったらどんな困難にだって立ち向かっていく!」
あの時の彬の目は、希望と野心に燃えていた。
そんな彬を俺は誇らしいと思った。
と同時に、羨ましくも思った。
何に縛られるわけでもなく自由気ままな彬。
その反面俺は、家のしがらみにがんじがらめに縛りつけられている。
けど、こんなことを言っている俺だが、あの頃は別に夢や希望があったわけじゃない。
ただのらりくらりと学生生活を終えた俺は、当然のようにそのまま親父の会社『KURATA』に入社した。
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