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女の子と二人きり、しかもこんな至近距離などまだ慣れていない俺。
経験の無さもあり、ドキドキと俺の胸は激しく高鳴り、体中に汗をかきまくっていた。
「あのね倉田君。私しおりっていうの。菅岡しおり。倉田君私のこと知ってた?」
「あっごめん。君には面識ないって言うか、ごめん知らなかった」
俺はかなりテンパっていた。
どんな難しい公式や問題よりも、目の前にいる彼女に戸惑っていた。
彼女を怒らせたらどうしよう、変に思われるんじゃないかなどと、体裁ばかりを気にしていた。
今まで身に着けてきた教養や帝王学なんて、彼女の前では何の意味も持たない。
女の子に免疫がない俺は緊張しまくっていた。
彼女の名前が「しおり」と言うことさえ知らなかった俺。
そんな俺とは対照的に、余裕たっぷりに話す彼女に俺はますます焦りを感じていた。
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