苦い初恋

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そんなしおりを頼もしく思ったし、同時にうれしくもあった。 そんなふうに俺たちの仲は急速に加速していった。 荒井に隠れてこそこそデートに出かけるときのスリルはたまらなく楽しかった。 そして何より、俺に向けられるしおりの笑顔がたまらなく好きだった。 そしていつしか俺の中に、しおりを自分のものにしたいという欲望が芽生え始めていた。 俺の心は完全にしおり一色に染められ、気づけばしおりを愛し、結婚したいとまで考え始めていた。 そう、しおりの口からあの言葉を聞くまでは─── 「・・・ねえ、ちょっと休んで行かない?」 しおりは慣れた感じで俺をホテルに誘った。 俺自身しおりを心から愛していたし、しおりの全てが欲しいと思っていた。 今がチャンスとばかりに俺は、何の迷いもなくしおりの手を取るとホテルの中へ入って行った。
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