6339人が本棚に入れています
本棚に追加
/364ページ
そんなしおりを頼もしく思ったし、同時にうれしくもあった。
そんなふうに俺たちの仲は急速に加速していった。
荒井に隠れてこそこそデートに出かけるときのスリルはたまらなく楽しかった。
そして何より、俺に向けられるしおりの笑顔がたまらなく好きだった。
そしていつしか俺の中に、しおりを自分のものにしたいという欲望が芽生え始めていた。
俺の心は完全にしおり一色に染められ、気づけばしおりを愛し、結婚したいとまで考え始めていた。
そう、しおりの口からあの言葉を聞くまでは───
「・・・ねえ、ちょっと休んで行かない?」
しおりは慣れた感じで俺をホテルに誘った。
俺自身しおりを心から愛していたし、しおりの全てが欲しいと思っていた。
今がチャンスとばかりに俺は、何の迷いもなくしおりの手を取るとホテルの中へ入って行った。
最初のコメントを投稿しよう!