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既成事実だぁ?笑っちゃうよ!
しおりに裏切られた悔しさに大きく打ちのめされた俺は、もう笑うしかなかった。
肩を落とし、うな垂れるようにホテルを出た俺を、黒いスーツの男が待ち構えるように静かに見ていた。
男のすぐ後ろには、俺専用の黒塗りの車が横付けされていた。
「・・・荒井!?」
「お帰りなさいませ」
軽く頭を下げると、荒井は迷わず後部座席のドアを開けた。
俺に乗れと言っているのか?
荒井は顔色一つ変えずドアを開けたまま立っている。
俺がゆっくりと近づくと、荒井の眼鏡の奥が妖しく光った。
なんだよこいつ。
俺が車に乗り込むと、バタンとドアは勢いよく閉められてしまった。
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