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なんでここに荒井がいるんだよ?
俺の行動はすべてあいつに筒抜けだったってことか?
言い知れぬ不安が俺を襲う。
打ちのめされた上に、荒井の行動が俺の癇に障る。
苛立ちに歪んでいく顔を、俺は素早く両手で覆った。
俺は車のシートに寄りかかると、深いため息を吐いた。
どれだけ俺をバカにすれば気が済むんだ。
しおりの言葉が今でも耳から離れない。
同様に荒井の冷ややかな視線も。
俺は顔を押さえたまま、やり場のない苛立ちに苛まれていた。
「くそっ!」
思わず運転席のシートを、俺は思いきり後ろから蹴り上げた。
その瞬間、ルームミラーに映る荒井としおりの姿が俺の目に止まった。
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