苦い初恋

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俺の問いかけに荒井は慌てる様子もなく、シートベルトをしめながら、 「なんでもございません」 と、淡々とした口調で答えた。 「あいつに何渡したんだ」 苛立った俺は少し語気を強めた。 すると荒井は観念したように口を開いた。 「見ていらしたんですか」 ため息混じりに荒井は答えると、前方を見据えながらハンドルを握った。 「おい、ちゃんと説明したらどうだ?いつから俺をつけてた」 「はい、随分前からになります。崇さんがあの方と交際を始めたとの情報を入手しましたので」 ちぇっ、大学内部にも手をまわしてたのか。 KURATAに仕えるこいつのことだ、手段はいくらでもあるってことか。
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