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「だったらこうなる前に止めるのが、おまえの使命なんじゃないのか?」
「はい。しかしこういう場合、崇さんに身を持って知っていただきたかったのです」
「なんだよそれっ!」
腐肉ともとれるセリフに、俺は唇を噛みルームミラー越しに荒井を睨みつけた。
対向車のライトに照らされた荒井の目が、なんだか笑っているようにも見える。
くそー、なんだよこいつ。
やっぱり俺は荒井には敵わないのか?
悔しさをにじませながら、俺はシートに寄りかかった。
「そういえば、おまえあいつに何か手渡してたよな」
「はい。封筒をお渡しました」
「封筒?」
「手切れ金でございます」
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