苦い初恋

29/35

6339人が本棚に入れています
本棚に追加
/364ページ
「俺の命令だ!」 「・・・・・はい。承知いたしました」 荒井は意味ありげに笑みを浮かべると、再度ウエイターを呼びつけた。 ひょっとして、荒井はこうなることを予想してたのか? でなきゃこんな場所に未成年の俺を連れて来ないだろ? 納得いかない俺の前に、早速注文した飲み物が運ばれてきた。 荒井の言う通り、心の傷を癒すには雰囲気のある店だと思った。 ゆったりとした音楽が耳に心地よく、男女の囁く声が静かに響き合う。 そんな中、荒井の水割りの氷がカランと音をたてた。 それを合図に、俺は荒井より先に口を開いた。 「おまえって女にフラれたことある?」 「はい、ございます」 荒井から即答で返事が返ってきた。
/364ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6339人が本棚に入れています
本棚に追加