苦い初恋

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けど、だったらしおりは俺が将来社長というの立場ではなかったら、俺に近づいて来なかったと言うのか? 俺がKURATAと無縁の人間だったら、俺に見向きもしなかったのか? 今さら俺からKURATAを取る訳にはいかない。 だったら今後どうしたら── 「俺はこれから先ずっと、今日のように苦しまなければならないのか?」 俺は懇願するように荒井を見つめた。 「いいえ、崇さんが苦しむ必要はございません」 「でも現に俺はあいつに傷つけられた」 すると荒井は眼鏡の奥をキッと光らせた。 「ご自分の感情、特に恋愛感情を捨てることです。肩書目当てに言い寄る方たちには、それ相応の対応で処理すればよろしいかと思います」 「どうやって?」
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